じぃじは、ゆうちゃんが生まれてくる3カ月半前に、重い肺気腫で彼岸に旅立ってしまったの。だけどあなたのお母さんが妊娠したときには、一番に知らせていましたからね。
その時じぃじは、医師から生命の期限を告げられ、酸素ボンベをつけていても苦しそうだったの。それなのに、「それは良かった。初孫だ」と笑みを浮かべ、翌朝目を覚ますなり「生まれてくるのは女の子だ」と、自信ありげに言うの。久しぶりに聞くその口調に、ばぁばも同調し、「さっそく孫の夢ですか? 男の子のお印はなかったのね」と言うと、じぃじはニヤリとして、「これで血は繋がるし、子ども好きのあなたは元気に生きていける。もう何も心配することはない」と言ったの。思ってもみない展開に胸がいぱいになり、じぃじの手を握り締め額に当てちゃったら、じぃじがそっと握り返してくれたの。
じぃじの夢は正夢だったようで、可愛い孫娘を授かりました。公務員だったじぃじは、穏やかな人だったんだけど頑固な面があり、そんな場面に出合うたび、ばぁばはムッとしてきたの。だけど最近、「あの頑固」にばぁばはずっと守られてきたのではないかと思うようになったの。おかげさまで今年、元気にじぃじの三回忌を迎えることができました。
ゆうちゃん、生まれてきてくれてありがとう。