2021年2月27日
いのちのバトン
柴沼迪子さん
コロナ禍の11月、ひとりの男の子が産声をあげた。父親は私の弟の三男。彼は平成元年、末期がんの母親の命がけの出産でこの世に生を受けた。育てることはできない、すべてを後に託すしかない、すべて承知の上での決断を、周囲のだれも止めることは出来なかった。母親は40日後に亡くなる。34歳だった。
小さく小さく生まれ、母親の名前の一字に、生(生きる)をつけて「文生(ふみお)」と命名された。その彼が今、父親になった。
瑛仁(あきと)くん、純粋な心、明るく光る個性をもち、思いやり、やさしさのある人に……。との願いを込めて両親がつけたあなたの名前には、しっかり二人の祖父の名前の漢字が入っている。若かったあなたのおばあちゃんが命を懸けてつなぎ、子に託した「いのち」のバトンが、今あなたに引き継がれたことが心からうれしい。
誕生の知らせをもらった日、息子達との家族ラインは喜びと感動でおおいに盛り上がった。生まれて来てくれてありがとう、72歳になる弟をおじいちゃんにしてくれてありがとう。
今、新型コロナの感染拡大でなかなか面会できないようですが、一日も早く、じいじと瑛仁くんが対面できますよう祈っています。