2020年10月10日
「べーちゃん」へ
奥山洋子さん
 あなたが生まれたあの日、私はとても不安でした。これからちゃんと育てられるのかと。
 お姉ちゃん2人はおばあちゃんちに預け、お兄ちゃん2人と病院へ行きましたね。生まれてすぐに泣かなかったあなたに、障害があると知らされたのは、半年後でした。きっと私の情緒不安定がそうさせたのだと、自分を責めずにはいられませんでした。
 ミルクもあまり欲しがらずに、舌をちょっとだけ出している寝顔に「べーちゃん」と名付けたのは、すぐ上のお兄ちゃんで、あれからあなたは20年も「べーちゃん」のままです。2歳にならずして医療施設に預けた日、「一緒に帰ろう」と泣いてしまったお兄ちゃんの声を、あなたは聞いていましたか?あなたをこの手で育てられないことが悔しくて、私も一緒に泣いてしまいました。
 けれど、あなたが施設で可愛がられて成長し、あなたの笑顔を見ることができました。数えきれないほどの人の手を借りて、あなたの笑顔があり、その笑顔が私たち家族を幸せにしてくれたのですよ。20年前の私の不安は、あなたが感謝に変えてくれました。
 「べーちゃん」、生まれてきてくれてありがとう。そして、そしてたくさんの方に「ありがとう」と言おうね、これからもずっと。