2020年7月4日
初孫の君へ
島田はるみさん
 あの日生まれた君が、大学生になった。
 離婚して、手探りで始めた居酒屋の経営に四苦八苦していたとき、娘に、男の子が生まれた。初孫の、君だ。うれしかった。「万歳」と叫んだ。
 毎日、仕入れや仕込みの時間を割き、君に会いに行った。心が、恋人に会いに行くように、ときめいた。むぐむぐしたやわらかな手、口をすぼめたり顔をゆがめたり。見ても見ても見飽きない、君の百面相。君に、心癒され生きる希望をもらった。
 ある日その思いを、佐賀県白石町が主催する「三十一文字(みそひともじ)コンテスト」に出した。佳作になり、歌が書かれた白磁板が届いた。
 <好物の 婿へのカツオは 口実で 会いたい見たい 初孫の顔>
 この額を、君が二十歳になる日、君の未来に贈ろう。君が生まれたあの日の感動を、君にずっと知っていてほしいから。