2018年4月28日
いとおしい孫へ
槝之浦トシ子さん
 「おめでとうございます。元気な男の子さんです」  初孫との対面に胸がいっぱいで、あなたにかける言葉も見つかりませんでした。あなたはとても元気な赤ちゃんでしたが、頭が少し長かったので、きっとおかあさんは難産だったと直感しました。看護師は「もうすぐお嬢さんに会えますから、お待ちください」と、あなたを抱いて再び分べん室に入って行きました。
 まもなくして、分べん室への人の出入りが激しくなり、辺りがせわしなくなりました。何が起きたのか私には想像もできませんでしたが、その時あなたのおかあさんが危篤状態になっていたのです。間もなくあなたのおかあさんの死を知らされました。医師に詰め寄り、「うそです。うそですよね」と叫んだのをはっきりと覚えています。
 「おめでとう。ご苦労さま」の一言もかける事ができなかったのが、悔しくてなりません。あれから26年、あなたは父親と父方の祖父母に大切に育てられ、念願の教師の職に就きました。今日の結婚式を迎えることができたのも大勢の人達のお陰です。これからは二人で力を合わせ、明るい家庭を築いてください。それがお世話になった皆様への恩返しです。
 おばあちゃんは、おかあさんの写真と一緒に、結婚式に臨みました。あの時、おかあさんに言えなかった「おめでとう」を、おかあさんとあなたに涙の中で言いました。おかあさんも応援しています。がんばれ、いとおしき孫よ。