2016年8月6日
生まれながらにして親孝行な君へ
小杉由佳さん
 香乃(かの)さん、君がこの世に生まれてきてくれて、9カ月が過ぎました。おなかの外の世界はいかがですか? 生まれてきてくれて本当にありがとう。お母さんは毎晩、君の布団にこぼれるほっぺたをみるたびににやにやしながらそう思います。君は生まれながらにして親孝行です。今まで37年間、人生駆け足で走っていた私の生活を一変してくれました。
 実際に、せっかちなので、ちょこまか走ってもいました。ところが君がおなかにきてくれてから、なんかあっちゃあいけないと、自転車で走り回るのもせかせかと走り回るのもやめました。そうしたら、急いでいたときには見えなかったものが見えるようになってきました。小さなこと一つ一つを大切にできるようになっていました。
 今は、夕方になるとこの世が終わるとばかりに大声で「ぎえぎえ」と泣く君と、「まあまあ、気分転換しようよ」と一緒にでかける散歩が楽しみです。毎日歩く道でも、梅が膨らんではちり、桜が膨らんで、季節がどんどん変わっていくのを一緒に見ましたね。来年も、再来年もいろいろなものを一緒に見ようね。
 でもいつか、君はどんどん自分の足で歩いていき、お母さんとは違う世界を見るようになるのだろうな。そのときは、その違う世界のことを一緒に話し合おうね。君の歩いていく世界が、君にとって楽しいものでありますように。そして、君の見る世界が、素晴らしいものでありますように。