2014年11月29日
「22年前 誕生したばかりの君へ」
やぎさん
 君は、自分の誕生が、成長が、命そのものが、私たち両親をなにほど変えていくか、まだ知らないでしょうね。お母さんのおなかから離され、1人で呼吸して生きていこうと一生懸命だったものね。私は本当に弱くて、不安を募らせるばかり。「出産」を自分も普通にできるものと疑いもしなかった。
 なのに臨月に入ったばかりの定期健診で、エコーを診た先生が「赤ちゃんが息をしていない!」と。即帝王切開になった。ただただ、混乱した。携帯もない時代、お父さんに連絡がつかず、おじいちゃんが承諾サインをし、2時間後には手術。局部麻酔で、もうろうとしながらも音は全て聞こえていた。自分の体から大きなモノが取り出され、先生方がパンパンたたく音がたまらなかった。
 「お願い、声をあげて! 息をして!」と動けないまま願い続けた。そして「オギャー」と、か細い声が聞こえた瞬間、涙がせきを切った。君はすぐにNICU(新生児集中治療室)に運ばれていった。およそ1カ月後、不安を抱えての退院、一喜一憂の生活が始まった。度々の緊急入院、他の子より遅い成長など、語り尽くせない。それでも確実に「笑い」と「安心」が増えていっていた。
 そんな君が、22年後、元気で立派な大人になっているんだよ。君はお父さんお母さんに数えきれない大切なことを教えながら、22年目の誕生日を迎えているよ。素晴らしいよ。大丈夫、安心して、ゆっくり育っておいで。